桜圃明宝展 2014年12月 寺内正毅宛 乃木希典書簡(大正元年9月12日付け)

昨年のことになるが、学習院大学史料館で

陸軍大臣・陸軍元帥を務めたのち、第18代内閣総理大臣寺内正毅氏とその息子寿一(陸軍元帥)関係資料である桜圃名宝展を見に行った。

寺内家が二代にわたって完成させた私設図書館「桜圃寺内文庫」の旧蔵品を核とするもので、皇室から下賜した工芸品のほか、山口幕末の志士たちの書、同時代の人々からの書簡を含む。

 

この中で、特に気にしたものは、乃木希典寺内正毅に送った書簡で自決前日の9月12日〇時となっている。

内容としては、殉死の理由と、寺内への暇乞いと家督問題に関する考えを述べたものであった。書簡を受け取った寺内は総理大臣桂太郎とともに後始末に奔走する。乃木の意思に反して大正3年乃木家の旧藩主子爵毛利元雄の実弟元智が乃木家を再興する。

華族制度の原理を貫くという国家意思が優先された時代でもあった。

この顛末については、井戸田博史の「乃木希典殉死・以降ー伯爵家再興をめぐって」
新人物往来社1989年刊に詳しい。

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